こちらは市川市動植物園のスーミーさん(19歳)と第1子ウータンくん(3歳7ヶ月)です。おとうさんはイーバンくん、スーミーさんと同い年で、4歳半の時に一緒にインドネシアのスマトラ島から親善大使としてやって来ました。多摩のオランウータンはボルネオ・オランウータンですが、こちらはスマトラ・オランウータンです。
 来園当初はスーミーさんのほうが体が大きく、イーバンくんにケンカを仕掛けるお転婆娘だったそうですが、今は落ち着いたおかあさん。やんちゃ盛りのウータンくんのお相手で少し疲れ気味です。

スーミーさんとウータンくん

おとうさんのイーバンくん
 でも、ここの展示場は工夫を凝らした運動具がいっぱい。タイヤのブランコや消防ホースのハンモックの他、森の木を模したポールに、蔦に見立てて縦にロープを張っているので、オランウータンの自然な動きが見られます。10秒とじっとしていないウータンくんに、いろいろな遊び方を教えてもらいました。
 こちらもスマトラ・オランウータン、ウーコさん(42歳)と、4月に2歳になったばかりの女の子ウランちゃんです。おとうさんは東山動物園のバランさん(45歳)。
 ウーコさんにとって第3子だそうですが、今生存しているのはウランちゃんだけとのことです。
 女の子の遊び方はたおやかですねー! 市川でウータンくんに会った後でしたので、とくにそう感じたのかも知れません。歳も違いますが、でも多摩のポピーくんが2歳ぐらいだったときはウータンくんの印象に近かったから、やはり性差なのでしょうか?
 感激したのはコレ! おかあさんがしっかり押さえた麻袋にウランちゃんがぶら下がって、反動をつけてゆらゆら揺れたり、クルクルひねって回ってみたり。ウーコおかあさんお手製、ウランちゃん専用のメリーゴーランドです。【動画はコチラ】(2008年1月5日追加)


 ウーコおかあさん、子育てにはとても神経質になっているとのことで、ちょっとでも聞き慣れない音などがするとすぐ確認していました。
 スマトラ・オランウータンは、日本国内に15頭ぐらいしかいなくて、しかも若い個体はほとんどがバランさんの子どもなのだそうで、将来の繁殖が気遣われます。市川のウータンくんは今からお婿さん候補として嘱望されています。

 飼育下の類人猿では2回に1回は育児放棄が起きていると以前聞いたことがありましたが、このオランウータンのおかあさんたちは三者三様、上手に子育てをしていました。
 スマトラ島、ボルネオ島では、違法伐採や農地化、天然資源開発、最近はバイオ燃料という伏兵まで現れ、野生のオランウータンが暮らせる森は日に日に少なくなって絶滅が危惧されていますが、日本国内の動物園のオランウータンも楽観できる状況ではありません。10年後20年後の子どもたちも動物園に行けばオランウータンに会えるように、みんなが元気に育ってくれることを心から願っています。

        (2007年5月13日up)

【2010年3月22日追記】
豊橋総合動植物公園のやさしいおかあさんウーコさんが2009年12月2日に亡くなりました。
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