指定管理者制度とマレーバク

 12月2日の土曜日、横浜市の労働組合と「野毛山動物園を愛する市民の会」主催の『動物園の民営化を考える市民シンポジウム』というのを聴講してきました。
 私がボランティアをさせていただいているズーラシアは、今年の4月から指定管理者制度による運営が始まっています。公募で八景島シーパラダイスと競った結果、従来から管理委託を受けていた(財)横浜市緑の協会が、向こう5年間の指定管理者に決まったので、きわだった大きな変化はありませんでした。けれど、これまで市から出ていた100万円の補助金がなくなったと伺いました。また、園のかたが以前に増していつも忙しそうに見えるのと、イベントがやたらに増えたという印象があります。
 動物園のファンとして、動物園やそこで暮らす動物たちが、ズーラシアに限らずこれから先どうなっていくのか、ボランティアとしてできることはあるのか、そんなことが知りたくてお話を聞いてきました。シンポジウムの主旨は、横浜市の野毛山・金沢、両動物園の指定管理者制度への移行の是非を考えるというもので、動物園の教育研究機関という側面を捉えた場合、民営はそぐわないというお話や、公務員か飼育係かの二者択一を迫られる職員さんの立場についてのお話もありました。
 指定管理者制度そのものについての説明は省略しますが、今回私が感じたのは、必ずしも市直営だからダメとか民間だからダメとかいうことではなくて、この制度の運営方法に大きな問題があるということでした。
 動物園での動物の展示というのは、動物たちと飼育担当者との信頼関係があってはじめて成り立つものだと、動物園に行ったことのある方ならおわかりだと思いますが、とくにゾウや類人猿などは信頼関係の構築に長い期間を必要とします。
 そのような事情を考慮してか、東京都の場合には、同じ指定管理者制度による運営でも、管理者選定は非公募で期間は10年ごと、しかも一期間終了時に職員を再派遣することを可能としているそうです。
 ところが、横浜市の場合、管理者は公募で5年ごとに選定、職員の再派遣は禁止のため5年ごとに飼育係が総取り替えになるようです。生命と個性を持つ生きものを取り込んだ施設を運営していく上で、これは拙策と言わざるを得ません。いろいろな問題が他にもあるとは思いますが、何はさておき、まずこの点に私は大きな危機感を抱きました。
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