ラジャくん 生後3ヶ月で体重60kg超
水の中でウンチ中です

 明けて翌3日の日曜日は、マレーバクの勉強会がありました。今年の8月31日に横浜市繁殖センターでマレーバクの赤ちゃんが生まれ、繁殖センターの研究者の方にお願いして、ズーラシアサポーターズのための見学会を設定していただいたものです。
 マレーバクは、マレー半島・スマトラ島に生息していますが、野生のものは多くても3,000頭程度と考えられ絶滅が心配されています。日本の動物園では、8〜9園で30頭ぐらいが飼育されていて、そのうちの9頭がズーラシアと繁殖センターにいます。世界的に見ても研究データが少なく、わかっていないことが多いそうです。9頭を見ていてもそれぞれ個性が違うので、「マレーバクは ──」というためには最低でも100頭、200頭という数のデーターが必要と研究者のYさんはおっしゃっていました。

おかあんのマヤさん バクはゾウと同じで
鼻と上唇が一体化しています

 今回生まれたのは男の子で、ラジャくんと名付けられています。母親は1995年生まれのマヤさん、父親はこのコーナーでもご紹介したことのあるブレンディングくん(1996年生まれ)で、以前はズーラシアにいたカップルです。

【マレーバク母子の動画】もあります
 Yさんはマヤさんを触りたおして信頼関係ができているので、麻酔なしで採血や超音波による検査ができるのだそうです。そのため毎週採血することが可能で、含まれるホルモンを調べることで発情周期がわかるし、早い段階での妊娠の検知もできたようです。出産直後に部屋に入ってもマヤさんは落ち着いていて、赤ちゃんに初乳を飲ませることもできたし、出産当日の採血や搾乳もできたというお話も伺いました。マレーバクのお乳の成分については、ある時点のデータはあるけれど、初乳からどう変わっていくかという報告例はまだないのだそうです。
 ちなみに、初乳は黄色みが強く、甘みがなくて美味しくなかったそうです。こういった絆を通じて得られるデータの地道な積み重ねが、繁殖の研究を進めていくのですね。そして、絶滅が危惧される動物たちの生存のための一助となっていくのだと思いました。

 2日続けて勉強の機会をいただいたため、タイトルを「指定管理者制度とマレーバク」と、ただ並べただけだったのですが、Yさんのお話からも、動物との信頼関係や研究を長く続けていくことの重要性を認識しました。繁殖センターは研究機関のため、指定管理者制度の対象ではもちろんありませんが、希少な動物の研究や繁殖には動物園間の協力関係も不可欠で、指定管理者制度が、園を越えた協力や連携を阻害するものでないことを望みます。
        (2006年12月15日up)
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