【ボルネオ・オランウータンとスマトラ・オランウータン】
オランウータンは2亜種に分類されます。ボルネオ島に棲むボルネオ・オランウータンは、足の親指には爪がありません。また、オスの顔の両脇のフランジが大きく目立ちます。
 スマトラ・オランウータンは、足の5指とも爪があり、フランジはあまり大きくならず、すうっとした顔立ちです。
 野生での生息数は、ボルネオ・オランウータンが約18,000頭、スマトラ・オランウータンが約6,000頭と推測され、絶滅危惧種に指定されています。
 森林火災や、大規模なプランテーションや天然ガスなどの資源開発による森林伐採、密猟によって個体数は激減しています。現地でオランウータンの実地調査をしていらっしゃる研究者の方々も、自然環境とオランウータンの保護のために、多くの時間を割いていらっしゃるようです。
 密輸や密猟で保護されたオランウータンを、野生に帰す活動をしているリハビリセンターもありますが、人間に飼育されたオランウータンは、人間の病気を持ち込む危険性があり、野生のものより体格が大きくなっていることが多いので、野生の個体にとってはかえって脅威となるなど、難しい問題があります。
 動物園で飼育されているオランウータンの数は、1999年の記録で世界中で888頭、日本では2000年末で、26園に55頭だそうです。ボルネオ・オランウータンがいるのは、ズーラシア、多摩動物公園、上野動物園など14園、スマトラ・オランウータンに会えるのは、東山動物園、とべ動物園など7園とのことです。なお、ずっと以前には、亜種を区別せずに飼育されていたケースもあり、ハイブリッドの個体もいるようです。

【オランウータンのあめいじんぐ!】
・力
 たいへん力が強く、握力は約300キログラムといわれます。(ちなみに私の握力は25キログラムがせいぜいです。)動物園でも、運動場に本物の木を植えたいのはやまやまなのですが、いとも簡単に引っこ抜いてしまうので、コンクリートで固定した遊具しか置けないとのことでした。
 野生では、樹上のオランウータンが、当たったらひとたまりもないような大きな枝をもぎ取って、下の観察者に投げつけることもあり、コントロールもなかなかのものだそうです。
 多摩動物公園のキューは、1、2歳のときに、横浜に着いた船のなかで偶然発見されたオスですが、不法に飼われ虐待されていたらしく、人間に物を投げつける癖があります。小石や、何もなければ自分のフンを投げるそうですが、それがみごとに顔に命中するそうです。この哀しい癖のために、キューは、休園日だけしか外に出してもらえません。
(多摩動物公園のボルネオ
シンガポール生まれ、16歳、オス)
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