お水を飲むヤンユエン
 メイメイ、リイリイの両親は1999年にズーラシアへ移りました。ズーラシアでは、同じ血統のこどもばかりが増えるのを抑制するために、オスメス交替で1頭ずつ展示しているとのことです。
 トンファは体調不良で入院していることが多く、このときもヤンユエンが出ていました。

野毛山では担当者泣かせだったとか
【スマトラトラ】
 野生のスマトラトラは約400頭と推定され、動物園で200頭以上が飼育されています。5亜種のなかで最も小さく、体長2.2〜2.7メートル、体重75〜110キロぐらいです。
 ズーラシアには、スマトラトラのユリとラン姉妹もいます。こちらは1997年上野動物園生まれで、やはり同じく1999年からズーラシアで暮らしています。
 太陽光線の弱いシベリア地方のトラは地色が薄くて縞模様が少なく、光と影のコントラストが強烈な熱帯の森に住むトラは毛色が濃く模様がはっきりしていると言われます。確かに、ヤンユエンの毛色はやや薄いかなと思いますが、メイメイ、リイリイとユリ、ランの色の違いは、実際に見ても私にはあまりわかりませんでした。ただ、スマトラトラの縞は、2本ずつ束になっているのが特徴だということです。

 ズーラシアのユリ

 ユリとランの父

 と母?(ともに上野動物園)
 そのほかの亜種の野生での生息数は、ベンガルトラが4000頭前後、マレートラが1000〜1500頭、アモイトラは20〜30頭と絶滅に瀕しています。
 野生の状態でトラ1頭が生きるためには、獲物の密度にもよりますが、何千ヘクタールといった広いなわばりが必要です。現在動物園にいるトラたちが暮らしていけるだけの森林は、いまや地球上のどこにも残っていないのだそうです。

【追記】
 現在、上野動物園開園120周年を記念して、西園のズーポケットにおいて、野生生物保全論研究会(JWCS)主催のパネル展『トラは野にいて美しい』が開催されています。9月8日までです。  30点あまりのパネルとビデオで、トラをはじめ、ウミガメ、ゾウ、サイ、クマの絶滅につながる密猟の実体が解説されています。
 トラの場合、1990年代から、その骨を漢方薬として売るための密猟が増えているのだそうです。虎骨は強壮やリウマチに効くと信じられ、取引が禁じられているにもかかわらず、粉砕して丸薬や酒として韓国、台湾などで売られており、日本にも違法に入ってきているそうです。このためにインドでは、1日に1頭のトラが殺されているというショッキングな内容もありました。
 なお、展示時間は、JWCSのHPによると閉園時間までとなっていますが、実際には展示室を午後3時で閉めてしまうので、ご覧になりたい方はお早めの時間にお出掛けください。
(2002年8月12日up)

【2010年3月22日追記】
野毛山動物園のアムールトラ「リイリイ」は2006年に腫瘍のため亡くなりました。
ズーラシアのアムールトラ「トンファ」は2009年2月に食堂穿孔のため、「ヤンユェン」は2009年12月に老衰(?)のため亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。
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